ワタシノハナシ。

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「凄くよくわかるよ、その気持ち。唯ちゃんは、僕よりきちんと自己分析が出来ているから、余計に苦しいんだと思うな――」  慈しむような眼差しの要くんが『唯ちゃんはイイ子だな』と言って、肉親がそうするような、自然な仕草でわたしの頭を撫でてくれた。泣きそうになったけど、必死で堪えた。  どうしたら良いのか全く分からなくなった自分のことを、思いっきり自分自身が持て余している――勉強もイヤ! 学校もイヤ! 将来の目標も考えられない。なにもすることが無い。したくない。  焦燥感に圧し潰される寸前――仮病で学校を休んだ。すると、『勉強に遅れちゃう……』という焦りが芽生え、慌てて翌日には登校した。でも、それは杞憂だという事を肌で感じた。一世一代の勇気を振り絞ってサボった割に、学校やクラスメイトの反応の薄さを感じたわたしは、『楽勝じゃん!』って思った。サボりなんて大したことがない(・・・・・・・・)と知り、頻繁にサボり出した。すると、定期テストの点数が下がった。当たり前の結果に落ち込み、どんどん登校できなくなった。正に、負のスパイラル。 「要くん。わたし、どうしよう? どうしたら良いと思う?」  わたしは、心からの叫びを要くんに向けた。 「ゴメン……。僕、明確な答えを持っていない(・・・・・・・・・・・・)んだ―― 」  そう言って、要くんは項垂れてしまった。そして、しばらく経ってから、言葉を選ぶようにポツリポツリと続けた。 「本当は、大人として理想的な言葉をかけてあげられたら良かったんだろうけど。それって、唯ちゃんが求めているような答えじゃないような気がして……。だからって、なにが求める答え(・・・・・)なのかは、僕には解らないんだ。ホント、ゴメンね」  言い終えると要くんは難しい顔で黙り込んだ。そうしたら丁度いいタイミングで航おじさんがお風呂から上がってきて、『お前ら、もうさっさと風呂入って寝ろ! 要は明日からまた仕事だし、唯は学校だろ! 難しいことは改めて一緒に考えよう、なっ?』と言って、上手く場を収めてくれた。  翌朝は三人で朝食を摂り、おじさんの運転する車でわたしは帰宅した。一緒に乗っていた要くんの言葉数が少なかった事が少し気になったけど、自宅に着いたからそこで別れた。  そして、わたしの憂鬱な一週間が始まった――
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