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「――唯、姉さんに電話するからちゃんと代わって、自分の口で謝るんだぞ?」
おじさんと要くんは、寒いのに門扉のところで二人して待っていてくれた――やっぱり少し迷った末、わたしがショップから要くんに電話でお煎餅の銘柄を確認したから、大体の時間が読めたみたい。わたしの姿を確認した途端、『唯ちゃーん!』って、要くんが駆け寄ってきてくれた。心配かけていたことを、つくづく実感した。
「ごめんなさい」
要くんになら素直に言えるこのひとことを、両親には上手く伝えられないジレンマ。
「ほら、寒いから早く中に入るぞッ!」
つっけんどんだけど、おじさんからも心配のオーラがダダ洩れ。有難う、おじさん。
『……思ったより元気そうだ。ちょっと代わるから。ああ、あんまり刺激しないでくれよ? 反省してるみたいだしな――』
十時少し過ぎに着いた。夕食はファーストフード店でハンバーガーセットを食べた。一人で食すハンバーガーは、あんまり美味しくなかった。ココアも粉っぽかったし。
『――ママ。ごめんなさい。今日、学校行けなかった……。お昼? 市立図書館でお弁当食べたよ。うん、今夜おじさんちに泊めて貰っても……いい? おじさんに代わるね――』
何か揉めてるのかな? おじさんの眉間に皺が寄ってきた。
『うーん……。今夜じゃなきゃダメか? 暫くこっちに泊めてもいいし。要も俺も明日仕事だしな、今夜こっちに来るのは勘弁してくれよ、な?』
部屋はあるから大丈夫。
迷惑じゃない。
俺達にとっちゃ、可愛い娘みたいなもんだ――
『じゃあさ、明日の晩にしてくれないか? 要を早く寝かせたいんだ。子供みたいだが、あいつは睡眠時間を確保しないと作業効率が落ちるんだよ。――よお、久し振り! 元気か? ああ心配いらねーよ。まあ、思春期だ! 許してやれ、な?』
今夜は夫婦水入らずで晩酌でもしたらどうだ?
こっちは大丈夫だ。
姉ちゃんを頼む。
ああ、要にもお前からの礼は伝えとく――
『また予定が合ったら、飲みにでも行こうぜ! じゃあな、おやすみ』
あ、パパに代わったんだ。二人は親友だって言ってたっけ。仲が良いんだね。わたしにも将来、そんな親友が出来るといいな。
「おじさん。ありがとう……」
「姉さんもあいつも、凄く心配してたぞ――」
「うん……」
「分かってるなら、よしッ! 要が茶の用意をしてくれてるから、少し話をしような」
少し前から、キッチンでケトルのシュッシュッって音が聞こえてた。
電話が終わるタイミングを見計らい要くんがヒョイと顔を覗かせて、アイコンタクトでおじさんと会話している様子がとても自然……いいなぁ。
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