Prologue

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 おじさんは、ママの弟でパパの同級生。  パパは長いことママにぞっこんで、『パパは、ママに結婚してもらったんだよ』っていうのが口癖。ママは、結婚の条件として『婿養子』を提示し、パパは何の躊躇もなく受け入れたらしいんだけど、その後、両家で少し揉めたって言ってたな。  『唯のママ(姉さん)はな、俺がゲイだってことを何となく感じてたらしいんだ。だから、あいつ(パパ)に頼んでくれたんだよ――』っておじさんが言ってた。真偽のほどは確かめたわけじゃないから分からないけど……鷹野家ならあり得るかも。  鷹野家は格式張った家で、お祖父ちゃんが生きていた時は、怖くて遊びにいくのが嫌だった。『靴を揃えてから入りなさい』『家の中で走ってはいけない』『正座をしておやつを食べなさい』……ああ、思い出しただけで、背筋がぞっとする。  ママは、女子教育の最高峰といわれる超難関国立女子大を卒業後、難なく国家公務員試験I種に通ったキャリアウーマンで、お祖父ちゃん自慢の娘。パパにとっての高嶺の花だったのか? っていうと、そうとも言えなくて……実はパパも、国立T大卒で高級官僚も狙えたらしい。でも、どうしてもママと結婚したくて多忙な官庁に就職するより地方公務員を選んだというんだから、本当にママのことが好きなんだと思う。  『唯の家は姉さん女房(・・・・・)だから、安泰だな』っていつもおじさんは言うけど、――我家よりおじさん()の方が幸せ溢れていて、安らぐんだよね。特におじさん最愛の要くんが、超癒し! 要くんが、ニマニマと嬉しそうに笑っただけで、おじさんだけでなく、わたしだって心がほんわかふわふわした気分になる。  でもでも。冷静に考えてみれば――髪が薄くなってきているパパと同い年ってことは、二人とも45か46なんだよなー。良いのかなー? 二人とも、30代でも通用しちゃうくらいに若々しいし。  因みに、ママもおじさんと血が繋がってるだけあって、超若々しくて美人! わたしは――パパに似て普通なんだけど、これだけ顔面偏差値の高い人たちに囲まれてると、普通も悪くないんじゃないかと思えちゃうんだよね。これは、負け惜しみなんかじゃなくて本心。
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