Prologue

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 あの日から三年――わたしは23になった。遅れ馳せながらではあるが、来春から社会人になる。 「何となくやりたい事が見つかったー!」    そんな報告でこの家に訪れたのが、約二年前。  わたしは、必ず節目節目の大切な決断や報告は――両親と同じタイミング(もしくは、少し早く)で、この二人にもしている。今や、この二人は両親と同じ位、わたしにとって掛け替えの無い存在。  今のわたしがあるのは、『暗黒の高校時代』その年代特有の悩みに圧し潰されそうになり、二進も三進も行かなくなった時……ここで、要くんとおじさんに助けて貰ったから――。  人によって程度の差はあるだろうけど、わたしはあちら側に落ちる寸前だったんじゃないかと思ってる。本来なら、成長の過程において葛藤し、様々な思いを乗り越えて自分の力で大人にならなければいけなかったのかもしれない。でも、あの時――要くんの経験談が、わたしの人生を軌道修正してくれたことは紛れもない事実で、わたしは弱い人間だから、そこに縋るしかなかった。今では、酒の肴の笑い(ぐさ)だけど!  でも……。あの頃に遡ってみれば、それら一連の出来事は、わたしにとっても、周囲の者達にとっても――かなり深刻な問題だった。
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