タスケテ。

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 わたしは、高2で17歳――『なんで来たの?』なんて、嫌な質問を向けられなかったから、元気な声で『要くんと話がしたいから来たんだー!』と、少し高めのテンションで言うことが出来た。『ふーんそうなんだー』と、相変わらずのんびりと応じてくれた要くんの隣に座るおじさんは、黙ってわたしの話を聞くに留めてくれている。 「僕とだけ話がしたいわけじゃないでしょー? 航の方が頭良いし、博識だぞ!」 「いいの! おじさんは、リア充(・・・)過ぎちゃって話になんないもーん」  そう答えると、『まあ、確かに航はリア充で完璧人間だもんな。うん、わかるよ』と要くんが納得してくれた。 「ところでさあ、唯ちゃん。僕も航と同じで39なんだけど……だから、要おじさん(・・・・)って呼んでくれてもいいんだよ?」  とんでもない! 要くんをおじさん(・・・・)なんて呼べない! こんなにピュアな雰囲気を醸す大人を私は知らないし、見た目もカッコ可愛いし! 絶対無理! 年齢じゃないんだよ! 「いいの! 要くんは要くんのままで!」  そう言うと、複雑な表情の要くんの横でおじさんが眉根を寄せて少し怒った顔をしていたから、わたしは『フンッ!』て横を向いた。そうしたら、『ふっ』とおじさんが苦笑を漏らしたのがわかった。  ――さっきまで、心身共に凍て付く寸前だったのに。ほんの僅かの時間で心の底からじんわりと温まり、少しエネルギーが湧いてきた感じがする。  話してみようかな? あの(・・)ことを。
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