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少なくとも……隣にいるこの亜壽香はそのことを知らない。そんな思考をしながら、今日もいつもどおり登校する時間が続いていた。
「どうかした? いつもよりいい顔してるよ? いいことでもあった?」
「ん? ん~まあな……大したことないけど」
いい顔……そんな顔をしていたのか……? まったく……自分の表情は想像以上に制御がしづらいものだよ。
「何があったの? ねえ、何があったの? 教えてよ」
「教えるほどのことでもねえよ」
「そう? でも……圭の顔……何かをやり遂げたって感じで満足げに見えるんだけど? 誰かを救ったー! とか、苦しみから解放されたー! とか」
「……へえ……随分と具体的に表情を読み取るな」
余りにも事実通りの読みに内心焦ったのは内緒にしておくとしよう。
それこそ、これが当てずっぽうではなく、推理などからだったらネイティブ以上に心理を読み取るのが得意なやつになる。さすがに冗談じゃない。
「当たり? 当たり?」
「いいや、ハズレだな。そんなんじゃない」
「ちぇ、な~んだ。その反応、当たったかと思ったのに」
「当てずっぽう? それ?」
「ううん、なんかね、こう、ビビッと頭にきたんだよ、直感ていうかな?」
「それを当てずっぽうって言うんだよ」
「違うよ! 直感だよ、直感!」
「はいはい、でもその直感は当たってなかったけどね」
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