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突如、亜壽香がそんな言葉をボソリと言ってきた。圭がいろいろ考えている中での本当に消えるぐらい小さい声だったので、そのまま聞き逃してしまいそうなほど。でも……それでもやはり微かに聞こえてしまったのだ。「違うのか?」と。
「なんのこと? 何が違うの?」
「え!? 聞こえた、今の?」
慌てた様子を見せる亜壽香だったがすぐにまた笑顔を取り戻す。
「いやあ、やっぱり圭はコントラクトの面倒事に巻き込まれてなかったのかな? って」
「それのことか。大丈夫って言っただろ?」
どうやらまだ、そのことを心配してくれていたらしい。だが、ここまでくると逆にこちらのほうこそ心配になってくる。
「そんなこと言って……そっちこそ、面倒なことに巻き込まれているわけじゃないだろうな?」
「こっちは無論、大丈夫」
「なんなら……俺に話してみたら……なにか解決するかもしれないぞ」
ついそう言ってしまった。もし、亜壽香が本当に……コントラクトによって誰かに支配されている立場なら……どうする?
もう、解放者になることはないと思っていたけど……。また……圭は解放者として動くのだろうか? それとももう面倒なことはごめんだと引き下がるか?
だって……今回……自分はもう関係ないのに。
あくまでもネイティブと戦ったのは……自分も支配下にあったからであって、解放された自由の身にある圭に……これ以上……戦うなど。
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