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「それは……あたしがコントラクトで支配されているなら、助けてくれるってこと?」
そう亜壽香から言われ……本当に助けることができるか、改めて考えてしまう。やはり無理か……これで解放しようと戦って負けたら……また支配されてしまう。
でも……
「まあ……俺にできるならな」
「解放者として?」
突如として同様で足を止めかけてしまった。それでもなんとか平常を保ちつつ前へと足を勧め続ける。
向こうから話題に出されれば、と考えてはいたが……このタイミングか?
「俺が解放者だって言いたいのか?」
「あ、やっぱり解放者は知ってるんだ」
「……ああ、噂ぐらいにはな……でも本当に俺が解放者だと思うのか?」
「いやあ、別に……巷で有名な解放者様の真似でもしてるつもりなのかなって聞いただけだけど? それとも……もしかして……本当に?」
「さすがに違うよ。……ただ、お前が苦しんでるなら……助けてやってもって思って」
「うん、そうだよね。でもありがとう。やっぱりあたしは大丈夫」
「……そっか」
それ以上、会話を続けることはできず、しばらく無言の時間がただ流れた。
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