3人が本棚に入れています
本棚に追加
弟と入れ違いで、今度は両親が私の傍に来て座る。
「どうかしたのか?」
「どうもしなくても、なんかダメな日はあるよねぇ」
父が心配そうに声を掛けてくれ、母がそっと手を包んで握ってくれる。
真っ暗だった心に、少しずつ光が戻ってくるように感じた。
「……二人とも、おかえりなさい」
「ただいま。ご飯、食べれる?」
「うん」
「お腹空いたな」
「うん」
そう返事をしながら、段々、私の心に温もりが沁みてくる。
時々、どうしようもなく一人きりだと感じて、苦しくなることがある。
理由はないけど不安で、寂しくて、一人ではそこから抜け出すことは出来ない。
そんな時、私の家族はただ、私の傍にいてくれる。私はそのうち、自分が一人きりではなかったことを思い出す。思い出すと、そばに居てくれる家族の、ぬくもりを感じられる。
今日も、私は孤独の淵から戻ってこられたことを感じて、安心して大きく息を吐いた。
「じゃあ、皆でご飯にしようか。手伝ってくれる?」
「うん」
母に微笑み返して立ち上がると、私は今度こそ心がここに戻ってきたことを感じた。
いつもと同じぬくもりに満ちた、温かい家の中に、私は居た。
最初のコメントを投稿しよう!