ぬくもり

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 弟と入れ違いで、今度は両親が私の傍に来て座る。  「どうかしたのか?」 「どうもしなくても、なんかダメな日はあるよねぇ」  父が心配そうに声を掛けてくれ、母がそっと手を包んで握ってくれる。  真っ暗だった心に、少しずつ光が戻ってくるように感じた。  「……二人とも、おかえりなさい」 「ただいま。ご飯、食べれる?」 「うん」 「お腹空いたな」 「うん」  そう返事をしながら、段々、私の心に温もりが沁みてくる。  時々、どうしようもなく一人きりだと感じて、苦しくなることがある。  理由はないけど不安で、寂しくて、一人ではそこから抜け出すことは出来ない。  そんな時、私の家族はただ、私の傍にいてくれる。私はそのうち、自分が一人きりではなかったことを思い出す。思い出すと、そばに居てくれる家族の、ぬくもりを感じられる。  今日も、私は孤独の淵から戻ってこられたことを感じて、安心して大きく息を吐いた。  「じゃあ、皆でご飯にしようか。手伝ってくれる?」 「うん」  母に微笑み返して立ち上がると、私は今度こそ心がここに戻ってきたことを感じた。  いつもと同じぬくもりに満ちた、温かい家の中に、私は居た。  
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