奇妙な盗難事件

2/10
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
 都心から少し離れた街での夕方の事…… 「あっ、おばあさん、危ないですよ」  白い杖を持った一人の老婦人が、車道に出そうになったので、あわてて沢田は声をかけ、歩道に誘導した。  その老婦人は苦笑しながら、彼に何度も会釈すると立ち去っていった。  それを見ていた青山課長は、 「おー、良くやったー」  しかし沢田は、はぁ、どうも……と言ってから、 「問題はこれですよ。ほら、歩道の点字ブロックを塞ぐように、この車が()めてあるでしょう。だから彼女は、車道に出ちゃったんですよ……。ったく……」
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!