第2章 噂の先輩

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白石先輩の後ろから、面倒そうな石川先輩がいた。 床を見つめながら歩いてて、目が合わねぇ。 まじか、どうしよ。 俺の前まで来て止まるとやっと声を発した。 「なんか用?」 冷たい言い方ですな。 そしてこっちを見ないし。 なんだよ。 こっち見るまでなにも言わねぇぞ。 無言の時間が数十秒続いた。 笙太達は目を合わせて不安そうにしてる。 そうだな、俺も大分不安。 あーーーー、耐えきれん! 「こ、これっ!返そうと思って!」 やっとこっち見たかと思ったら、 石川先輩が目を見開いていた。 無理やり紙袋を渡して、もう一度目を合わせる。 今度は合った。 「あ、どーもありがとうございました。じゃ。」 ぶっきらぼうに言ってしまった。 後悔の念で引きかえそうとすると、 「待ってっ、巧真くん!」 手首を引かれて連れ戻された。 え、何事?
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