第2章 噂の先輩

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長い暗い廊下を石川先輩と俺の2人きりで歩く。 どちらとも喋らないけど、靴の音だけ響いてて、そして石川先輩は時々顔をうかがうようにこっちを見る。 なにか話した方がいいのか このままの方がいいのか でも話すとしても何を? 手紙のこと? さすがに俺でもわかるよ 絶対今じゃない 今そんなこと話してみろ? 俺としては大変なことになりそう、 どうやら好かれているようだし、氷の王子様に。 俺過去になにしたっけ。 この人に好かれるようなことしてないよ 平凡な毎日を過ごしていただけなのに あと少しで2年生の棟だ、というところで石川先輩が言った。 「あのさ…」 なんだろ。 「…はい?」 「あの…」 歯切れ悪いっすね。 「なんですか?」 俺がそう聞くと石川先輩の足が止まった。 不思議に思って振り返ると、先輩が真顔で俺の方を見ていた。 「今、言っとくね」 何を? 「ぇ、はい、」 「あの…僕ね」 何を言われるんだ…? 「手紙にも書いたけど」 まさか… 「君のことが」 …………。 「ずっと前から好きでしたっ。」
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