第9章 白石先輩大作戦

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〈キーンコーンカーンコーン…〉 五時間目の終わりを告げるチャイムが鳴った。 「巧真ぁー…」 ジャージに着替えた笙太が、また どんよりとした空気を漂わせながら寄ってきた。 「あ、体育か。」 六時間目はグラウンドでサッカーだそうだ。 ジャージに着替えて笙太と一緒に外へ出る。 グラウンドで準備体操をだらだらとやってから、男子はサッカーの試合をするために三チームに分けられた。 笙太と俺は同じチームC。 〈ピーーッ〉 「なぁ、笙太」 チームAとチームBの試合を見学しながら、笙太に話しかける。 「ん?」 斜面に並んで座りながら、笙太は首を傾ける。 「笙太ってさ、白石先輩のこと好き?」 「そりゃ、もちろんっ…!」 「いや、そーじゃなくて、白石先輩と付き合いたい??そーゆー好き?」 「…えっ」 俺の言葉の意味を理解した笙太の顔が赤くなっていく。 「赤くなるってことは好きなんだな。」 「…ぇえ、そ、そー…なの?」 「そーだろ。好きだから、その人のこと考えると赤くなったり不安になったりするんだろ」 「そーなのかな…」 「白石先輩と付き合いたい?」 「それは、付き合いたい…けど、」 「それが、好きってことなんじゃない?」 「好き…かぁ。」 そう呟きながら、白石先輩を思い浮かべるように遠くを眺める笙太。 なんかお前、初々しい(笑) つか、付き合うか決めるのは白石先輩だけどな。 「でもどっちにしても白石先輩は好きな人いるらしいし…」 そう言ってたな。 笙太は見るからにへこむ。 「その好きな人が笙太だったりして。」 意外と仲良しだもんね 「それはないよー…」 「んーじゃあ、当たって砕けろ精神で告白してみたらどーかな」 「砕けてんじゃん!」 ペシッと笙太に軽く小突かれる。 「告白してみて、白石先輩に好きって知ってもらえれば何よりじゃん」 「告白してみて…?」 なんかこの話題で、 ことあるごとに賢人先輩を思い出すのはなんでだろう。 ブーメラン… 「告白して、白石先輩に断られたりしたら死ぬよー…」 賢人先輩の告白断っちゃってた。 「ぐ…っ、やめて、笙太、苦しい…」 「え?どーしたの」 「うん、なんでもないよ大丈夫。 でも、もしそうなったとしても、断られてからどうするかだよ。」 「…けど、」 「告白してから始まるんだよ!全ては!」 俺のキャラが崩壊した。 「なんか巧真、そーゆーキャラだっけ?」 シンクロ率100%…
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