第9章 白石先輩大作戦

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「………っ」 「なに赤くなって… いや、……えええぇぇぇっ!? ほんとにっ!?」 自分から言ったくせに 親友が好きな人に告白だとかいう…リアルなアオハル展開に… 何故か消化しきれない驚きが漏れ、 俺が柄にもなくでかい声を出すと、 笙太は顔を赤くして、少しだけ項垂れてから近くにあった水道の蛇口を勢い良くひねって、 「え、おい…っ」 ビャーーーッという聞いたこともない水圧音を上げる蛇口、そこからウォーターパンチが笙太に炸裂した。 「へぶっ…!!」 …………ドサッ 「笙太ーーーーっ!!! お前まだ死ねないだろぉーーー」 そう、柄にもなくテンション(?)が高く、雄叫びを上げた俺に気づいた体育教師が駆けつけて、 笙太は一命を取り留めた。← 保健室にて。 「……ん…」 お。 「起きたか?笙太」 俺が声をかけると、うっすらと目を開けたまま、ぼんやり天井を見上げている。 「…俺の部屋の天井じゃない… ……ここは…!!」 と、突然起き上がって覚醒した。 「笙太、ここ保健室」 「…保健室?」 キョトンとしてから、なにか納得したような顔をして 「そうか…俺、蛇口に襲われたんだった」 そんな事を真顔で言うもんだから… 「…………ククッ」 くつくつした笑い声が保健室に響いたのは、言うまでもない。 「笑うなよ!」 「ごめん、つい…プフッ」 「…うぅ〜っ」 嘘泣きし始めたから、必死に笑いを堪える。 「あーそうだ…先生がな、 授業終わるまでココにいていいってよ どうせ俺ら真面目じゃないしな(笑) …あ、そーいや、 アレ…具体的にどーすんだ?」 保健医がすぐそこに居るはずだから、声量を抑えて言う。 「アレ?……あぁ〜っ、そうだった〜…」 忘れてたんかい。 「……具体的にって…ア、アピールとか… そーゆーの…?」 恥ずかしそうに顔を赤くしたまま、それを隠すようにベッドのシーツを手繰り寄せる笙太。 やめろ、お前がやっても可愛くない。 「アピール…うーん、そもそも今どれくらい仲良いの? あ、休みの日遊んだりする?」 俺の問いかけに、首を横にブンブン振る笙太。 「じゃー遊びに誘ってみて、それでもし良い雰囲気になったら… 告ってみる…とか?」 「う…うぁああ〜…やっぱダメだぁ〜」 じっと聞いていた笙太だったが、やがて耳を塞いで狼狽えた。 「んー…」 こーゆー時、なんて言ったらいいかな? 大丈夫だよ!…もなんか無責任な気がするし、 応援してる!…とかが無難なのか? 俺も笙太もウンウン唸っていたら、 《…シャッ‼》 閉めていたカーテンが開けられた。 …あ、しまった、忘れてた← カーテンの奥にいたのは保健医。 細身の…クリーム色みたいな明るい髪色の…碧い眼をした… 「が…外国人…」 笙太が呟いた。 さっきも見たけど… うん、ハーフなのかな…やたら美形 「Hi,nice to meet you!」 あ、英語だ 「ひ…ひぇぇええ〜〜??! あ〜イム、ノット…ジャパニーズぅ〜?」 「お前、日本人だろ」 混乱したらしい笙太。 そりゃそうか…水圧でノックダウンして、憧れの先輩への想いを聞かれて、それがまさかの外国人風と来た。 「アハハ…ごめんね、揶揄い過ぎちゃった?クォーターだけど日本人だよ」 「ウォーター…!?」←混乱中の笙太 全く悪気がなさそうな顔で笑った保健医。 「いえ…あの、話…聞いてました…?」 「うん、バッチリ」 「おっ……あぅ…〜〜っ」 笙太、重体の模様。 保健医は真っ赤になった笙太を見て、 「いいね〜、青春だね〜 オレもいれて〜」 …と一言。 保健室にて。 ベッドの上で真っ赤になった男子生徒と、 キラキラした眼をした白衣の男と、 それを遠い目をして見つめる俺…… これ…なんてカオス…?
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