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でーとって何。By笙太
次の日の昼休み。
俺は持ってきた弁当を掲げて笙太の席に向かう。
笙太は…暗かった。
とてつもなく…暗かった。
陰陰陰陰陰陰キャ…ってくらい暗い。
暗黒属性の最上級魔法…ってくらい暗い。
…何を言ってるんだ自分よ。
「しょーたー
…転生した?」
中二病っぽくコソコソ話をする感じで話しかけたら、ピクッってなってた。
「…あのさ…でーとって…」
デート?…あぁ、昨日のやつね
「どこ行きたい〜とか考えてきたのか?
なんでそんなに思い詰めた顔をしてるんだよ」
「う…うん。……ウィキペディアが…昨日な、俺に教えてくれて…」
「ウィキ・ペディアって誰?外国人?」
………………
「…ウィキペディアは、世界中のボランティアの共同作業によって執筆されるフリーの多言語インターネット百科事典である。
…通りすがりの田中でした。」
「「……………オウ、アリガト」」
俺と笙太の中で、田中のことを陰でウィキ・ペディアと呼ぶことにした。
そんなことはどうでもいい。
「…ウィキペディアが教えてくれたんだけど、でーとについて上手くわかんなくて…ほら、俺って現代文まるでダメだし…
だから…巧真に聞こうって…思って」
デートについて知らない高校生っているんだな。
「んーまぁ…そーだなぁ…
…改めて説明しろと言われると難しい
そもそもデートの定義ってなんだ」
首を傾げてみても、わからない。
「じゃあっ、俺と巧真の放課後の遊びはデートか!?」
あんまでかい声で言うんじゃない。
女子が興味ありげにコッチを見てくるじゃないかい。
「それは違う…俺らは友達だからな」
「いや!友達以上だろ!
こう…もっと深い関係だろ(親友と言いたい)」
ヤメロ。←
「そうだな。でも俺達は付き合いたいと思ってるわけじゃないじゃん?
だからデートにはならないんだよ
…つか、食べ始めようぜ。お腹空いた」
「…、そーゆーもんか、」
「うん」
笙太の机で二人してお弁当を広げる。
「…じゃあ、巧真はその…あるか?
デート、したこと…」
ゴフッ…
卵焼きが口の中でプラスチック爆弾と化した。
味がしない…
「…まぁ…ある」
恥ずかしさを押し殺しながら、片手で顔を隠すようにして言う。
「え!それって…彼女…と?」
「…ぅ…あー、そー…だな」
「え!彼女いたのっ!?」
「おいっ…馬鹿でかい声で言うなっ…!」
笙太に小声で怒鳴る。
「いや…皆食いモンに夢中で気づいてない…」
『有岡くんって彼女いるんだって…』
『なんかガッカリ』
『ねー、ちょっとイイなって思ってたのに』
女子特有の、小さいのによく通る声が耳に入ってきた。
イゴコチ…ワルイ
「…中庭でも行く?」
「ご、ごめん…巧真」
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