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エピローグ
「よし!出発だ!」
卓がそう言ってアクセルを踏むと、卓と恵梨香、そして3ヶ月の真琴をのせたグリーンのコンパクトカーは郊外のショッピングセンターへと向かっていく。あの事故から半年。卓の頸椎捻挫も順調に回復を遂げ、事故に遭うこともなく日々を過ごしている。
「あのとき、よく粘ってくれたわね」
「うん。法律について間違いなく僕は生兵法だったし、話した内容の3分の1くらいはハッタリだったけど、闘わないで終わるよりはいいと思って使える手を全部使ったんだ」
卓は助手席に座る恵梨香に対してそう誇らしげに語った。
「それにしても偶然ってあるものなのね。ナンバーが1107だなんて」
「そうだな……」
事故後に新車としてやってきたこの車のナンバーは1107。そのときはまだ恵梨香は真琴を身ごもっているときだった。真琴が生まれたのはそれから2ヶ月後の11月7日だったのである。
「ねぇ、これからも3人、ずっと幸せに暮らせるといいわね」
恵梨香がそうつぶやく。
ーーこの2人を守るために、僕はこれからも全力で頑張らないとな。
卓はハンドルを握りながらそう心の中でつぶやいた。
【END】
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