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プジョール
そんなふつうの夜のことでした。その日はおいしいお酒をあけたので、みんな少し酔っぱらっていい気分になっていました。あいかわらずウーだけはミルクをすすっていましたけどね。
そんなわけで、その晩はジプシーたちが歌いだすと、楽団のみんなも楽器をとりだしては即興で合奏したりしていました。
さて、楽団のひとりにプジョールという男がおりました。まだ若いのですが、とてもじょうずなトロンボーン吹きで、ルネとウーのパントマイムの伴奏の作曲をしたりもしていました。わるふざけやいたずらが大好きでしたが、ハンサムなので女のひとにとても人気がありました。
その日プジョールはずいぶんとお酒をのんだらしく、真っ赤な顔をして、ジプシーの歌にあわせてトロンボーンを吹いていました。プジョールがトロンボーンを吹くと女のひとが集まってきます。女のひとが集まってくると、男のひとも集まってきます。そうしてその晩はジプシーを囲んでサーカスのほとんどのひとたちが集まって、プジョールのトロンボーンを聴いていました。たきびがプジョールやジプシーの顔を赤く照らしてゆらゆら揺れていました。ウーをのぞく全員がプジョールのトロンボーンに聴き入っていました。
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