18人が本棚に入れています
本棚に追加
/267ページ
コーヒーの準備は良し。朝食は昨日の食材の残りから、比較的軽めのものを選んで作ってみた。ウィンナー、キャベツ、玉ねぎその他諸々。
特別美味しいと言えるものじゃないけど、味は問題ない......はずだ。
「......ん?」
一人調理を終えて休憩していると、ふと寝袋の方から布の擦れる音が聞こえてきた。俺はその場で振り向き寝袋の方を確認すると、先ほどまで眠っていたカルトさんはしっかりと目を開き、上半身を起こしていた。
「おはようございます、カルトさん。よく眠れましたか?」
「......」
朝の挨拶をしてみるが、応答は帰ってこない。虚空を見つめたまま微動だにしないカルトさんに、俺はゆっくり近づいていく。
「体に異常はありませんか?腕が痛いとか、頭が痛いとか。」
「......あの人は......」
最初に返ってきた言葉は、俺ではない誰かを求める言葉。
その求める相手とは、きっと彼女の仇であるスカルのことだろう。
「......スカルは、どこかに行ってしまいました。俺も詳しいことは......」
「......そうですか。......う"っ!」
俺の持てる情報でカルトさんの問いに答えると、カルトさんはいきなり体を動かして、どこかへ立ち去ろうとした。
しかし、俺の心配通り、昨日の戦闘の後遺症があるのだろう。カルトさんは左胸を抑え、痛みを我慢するようにうずくまってしまった。
「っ!!まだ動いちゃいけませんよ!まだ後遺症は癒えてないんですから!」
「くっ......い......いいんですっ。俺の体がどうなろうとっ......」
「いいから!まだ休んで!」
俺が注意をしても、まだ動こうとするカルトさん。ここで無理をしても、余計悪化するだけだと体を抑え込もうとした、その時
「っ!?!?離せ!!!!」
「うっ!?」
俺の体は、突然興奮したかのように暴れるカルトさんの腕によって突き飛ばされた。その衝撃はものすごく、朝食やコーヒーの置かれていた簡易テーブルに勢いよく突っ込んでしまう。
最初のコメントを投稿しよう!