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「あ、それともう一つ」
警官の質問は二つ目に入る。
警官が話題を変えたということは、ひとまずこの人への疑いは晴れたと考えてもいいのだろう。
「この辺りで女の人が倒れていると通報を受けたのですが、それについて何かご存知ではありませんか?」
「えっと、それは......」
警官から問いかけられたその内容に、俺は声を詰まらせる。俺は、ナニカに四肢を縛られていた時に見た映像を思い出していた。
肝心の場面は見ていないが、俺の体が髑髏男に襲いかかっていた時には、すでに女の死体はいなかった。
おそらく、男が何らかの方法で奴を倒したからなのだろう。だがそれを警官に説明するわけにはいかないし、第一死体が動き出したと話しても信用されるとは思えない。
結局、俺はその問いに対して知らぬ存ぜぬと答えるしかなかった。
「......いえ。何も知りません」
「......?そうですか。では、質問は以上です。もう遅いので、気をつけて帰ってくださいね。」
「わかりました。お手数をかけます。」
俺は立ち上がりかけられていた上着を綺麗に畳んでから男に返却し、警官に一礼をして倉庫の出口に向かう。上着を返却した男も、俺の後に続いて出ていくようだ。
「最後に一つだけいいですか?」
少し距離の離れた警官が、顔をこちらに向けて声をかけてきた。
「なんでしょう?」
「ここで何か見ませんでした?」
「え?女の人の死体なら見ていないと......」
「いえいえ、それとは別にですよ。ここで何か見ていないかなーと。」
「......?いえ、特に何も」
「そうですか。いや、これは失礼しました。最近何かと事件が多いものですから」
「はぁ......。あれ?」
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