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「そ、それで......」
「幾度となく倒しても、その度に奴は体を黒い靄のように変化させて、次の瞬間には傷やダメージが元からなかったかのように復活してきた。その時はさらに数回ほど倒すと復活しなくなったが、その倒れても倒れても復活する姿は、まさしくゾンビのそれだった。」
「......」
「幸い倒すことはできたが、奴にはおそらく痛みというものはなかったのだろう。こちらの攻撃に対して、一切の怯みを見せなかったからな。」
痛みを感じず、何度でも復活し、ただひたすらに相手を襲う。
それはまさしく、創作に出てくるゾンビの特徴と一致していた。だが
「腑に落ちない、か?」
「はい。......正直話を聞いても、まだその実感はわきません。」
未だに魔物を創作として捉える俺には、現実にそれらが存在することにどうしても納得ができない。ただ男の説明を聞いて、男が俺の黒い肌の正体をゾンビだと考える理由に一応の理解はできた。
「分かっている。何しろ俺にも理解できないところが多いんだ。そんな奴の説明で完璧に理解しろと言われても、到底できはしない。」
「そう......ですね。......あの、一つ質問してもいいですか?」
「なんだ?」
男は俺を気遣ってか、優しい言葉を投げかけてくる。ひとまず自身の中で一つの折り目をつけて、今度は俺の方から男へと質問をした。
「ゾンビや吸血鬼のような魔物は、一体いつ人に発現するんですか?」
俺は男の説明を受けて、あることが気になった。
それは、人間が魔物に変化する原理だ。
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