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そこで俺は、肝心なことを思い出した。
ずっと男と呼んでいたこの人の名前を、俺は知らないのだ。
「あ......」
「......?なんだ?」
「いえ、まだ名前を教えてもらっていなかったなと。」
「そういえば、自己紹介がまだだったな。すっかり忘れていた」
「俺は秋雲 伊御っていいます。」
「俺の名は......そうだな、スカルと呼んでくれ。俺の髑髏から取った名だ。」
「わかりました、スカルさん。」
「スカルでいい。さん付けは呼びにくいだろう」
互いに簡単な自己紹介を済ませ、俺とスカルは別れた。
「さようなら。」
「またな」
スカルとイオは、互いに背中を向けて正反対の方向へと歩き始める。これが、俺とスカルの、初めての出会いであった。
「ただいま。」
スカルと別れた後、俺は夜の空を楽しみつつのんびりと我が家に帰ってきた。
脱いだ靴をそのままに、リビングへと入っていく。
「ぐぅっ......はぁ......」
俺は後先考えず、制服のままソファーに飛び込んだ。
「はぁ......疲れた......」
俺は今、肉体と精神の両方で疲れ果てていた。ソファーに飛び込んだ瞬間から、その疲労をより強く感じる。
「......あぁ、お風呂沸かさないと......」
俺はこの家で一人暮らし。両親とは別れて暮らしていて、何をするにしても自分で用意しなければならないのだ。
「......動きたくない......」
今日はもうお風呂はいいか。そんな考えが俺の頭をよぎる。しかし自分の体臭を嗅いだ後、これはダメだとすぐにお風呂を沸かしにいった。といってもこのご時世、お風呂はボタン一つ押すだけで沸く。あまり動きたくない今の俺にはとてもありがたい存在だ。
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