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俺のいる学校は、あまり頭のいい学校ではない。そのため最悪黒板に書かれている内容をノートにまとめるだけで、テストの点数はだいたい取れてしまう。
俺は自分で言うのもなんだが、あまり真面目な生徒ではない。
「......」
教師の声をバックに眺める外の景色。特別いい眺めというわけではないが、雲の数や学校前の道路を通る車の色や形を数えたりすればいい暇つぶしになる。チョークが黒板をつつく音がすればペンを持って黒板の文字をノートに写し、先生の話が始まれば再び窓に目をやる。この時、それまでに数えた数はすべてリセットして始めるのが俺流だ。
「......ん?」
俺がいつものように車の色を数えていると、普段は見ないものが目に映った。校門から、なにかが敷地内に入ってきたのだ。
「(なんだ......あれ)」
入ってきたのは全部で三人。一人は怪しげな服?を身につけており、一人は骨格標本のような姿、一人は全身が黒く明らかに普通じゃないことを物語っている。
そいつらを見た瞬間、俺の肌は何かとてつもなく嫌なものを感じ取り鳥肌を立てた。
「(まさか......な。)」
その時、俺の耳に黒板にチョークがあたる音が入ってきた。それによってなんとか意識を持ち直した俺は、一旦視線をノート戻す。だが俺のペンを持つ腕は目に見えて震えており、まともに字を書けそうにない。
「(......ッ)」
だが今は、震える腕のままがむしゃらにペンを走らせた。そのせいでかなり汚くなってしまったが、なんとか黒板の文字を写し終わり再び窓の外を見る。するとやはり、さっき見た時よりも明らかに距離が縮まっていた。
「(やっぱりこっちに近づいている......。どうする......何かいい手は......。っ!?)」
外を見ながら、俺はこれから起きるであろう事態に対して何かできることがないか脳をフル回転させて考える。特にこれといった解決策は浮かばず手をこまねいていると、大人が一人、校舎から出て奴らに近づいていくのが見えた。それがこの学校の教師であることは俺にもすぐわかったが、それと同時に俺は焦った。
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