TEN-difference

0、Prologue

俺は今日、初めての失恋を経験した。

俺は昔から小・中・高、そして最近まで同じ会社の支部で働いていた幼馴染に片思いしていたが、その幼馴染というのは根っからのノンケで男には興味がなかった。
そんなやつが男の俺に好意を抱かれてるなんて知ったら、どんな態度を取るだろうか。
考えただけでも想像はできてしまうし、ゾッとする。
ただの幼馴染でもいい、一緒に居られるだけでもいい。この先何があるかわからないけれど、少しでもあいつと長く一緒に居たかった。
この状況を壊さないようにと俺は自分の想いをただひたすらに隠し続けた。

時が過ぎるにつれ、己を偽って彼の側に居続ける事に苦痛を覚え、紛らわせるためだけに数え切れない程たくさんの男と身体だけの関係を結び、快楽に身を任せ余計な事は考えられないよう生きていたのだが……
俺に情が移った一部の男同士のトラブルに巻き込まれて一度死にかけるという悲劇が起こった。

この時に色々あって俺がゲイである事など一番多く関わりがあるあいつには簡単にバレてしまい、俺が一番恐れていた“幼馴染”という関係が壊れる事態を覚悟したがそんな覚悟は時間の無駄に過ぎなかった。