最愛な

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仕事が早く終わり、昼過ぎには帰宅した。 自宅には、彼が待っている。 本当に、本当に大好きで、 どうしようもないぐらい、愛してる。 そんな彼と、数日前から 一緒に暮らしている。 「…ただいま」 静かにドアを開けて、廊下の灯りをつける。 右側の奥の部屋に、彼はいる。 「今日も疲れたよ、上司がさ…」 その部屋に入りながら、今日あった出来事を 彼に聞いてもらう。これが日課。 彼の座る椅子に近付いて、 いつもありがとう、と笑顔で語りかけた。 反応はない。これもいつもの事。 「最初から、こうやって一緒にいたら良かったね」 ーーー数日前の事。 『え、お前誰とも付き合ったことないの!?』 『じゃあ俺と付き合っちゃう?(笑)』 仕事の帰り、同僚の彼と居酒屋へ。 お互い、かなり酔っていた。 彼も、冗談のつもりだったのかもしれない。 でも、彼の事が好きだった。 次の日の、仕事帰りに そのことを確認したんだ。 『は?そんな事言うわけないじゃん?』 『だって…』 『男同士だぞ…?』 だよな…と肩を落としていると 『言ったとしても、それ本気にしたわけ?』 『何々、お前ホモだったの?きっしょいわ(笑)』 …そう言われた時、 何か…何かが弾けたんだ。 気付いたら、既に息のない彼が 自分の部屋にいた。 動かない、喋らない、呼吸もしていない。 でも、大好きな彼がここにいる。 例え、彼がノーマルでも。 例え、死んでいても。 自分のセクシャルを知られた時の あの言葉はショックだったけれど、 ここにいる、それだけは変わらない。 「…一緒に居られて、嬉しいな」
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