1 突然の別れ

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「それで、急なんだけど、同棲だけでもしたいからその了承をほしいって、今週末にうちに挨拶に行きたいって言ってるんだけど、空いてる?」 「空いてるわよ。そうね、土曜の11時でどう?一緒にお昼でも食べましょ」 「わかった。あの……お父さんはなんて言ってる?」 「婚約破棄についてはショックを受けてたけど、アンタが自分で決めたことに、反対するつもりはないって」 ホッ、と肩の力が抜けた。 反対されたらどうしようかと思っていたのだ。 でもふと考える。 うちはともかく、武士さんのご両親は賛成してくれるだろうか。 私が婚約破棄されたこと、しってるんだろうか。 結婚は断ったのに同棲だけしたいなんて。 不安にかられながら、武士さんに電話をかける。 「土曜の11時ね。オッケー。ご両親の好きな食べ物とかある?」 「お菓子とかなら、駅前のケーキ屋さんにあるケーキですね」 「じゃあ、行く途中で買っていこう。 綾ちゃんは、来週末予定ある?」 「いえ、ないです」 「じゃあ、うちの親にあってくれないかな」 「はい、あの……私のことはどこまで…」 「婚約破棄については話してないし、話すつもりもないよ。話す必要がないからね。同棲については、俺の独占欲をうちの家族はよく知ってるから大丈夫」 こんなに優しい人なのに、プロポーズを受け入れることが申し訳なくて、涙が出そうになった。
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