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日曜日。
私は会社で一番の仲のいい由香に、金曜日のこと、自分が武士さんに惹かれ始めてることを話した。
惹かれてる、と言ってもそれが恋愛感情なのかは分からないということも。
「蓮くん、あんなに綾にベタボレだったのに、急にどうしたんだろうね」
「わかんない。私が色々仕切ってたのが、重荷だったのかなって今は思ってる。最後の方は、恋人らしい時間もなかったし」
「それで、水野先輩が名乗りを上げたと」
「それもよくわからないんだよね。だって今まで全然そんな素振りなかったのに」
私が言うと、はあっ、と由香がため息をついた。
「それは、綾に彼氏がいたからであって、指導係の時から、水野先輩は綾のことは特別扱いだったよ」
「えっ、うそ!」
「気付いてないの綾だけじゃないかなぁ」
自分ではそんなに鈍くないと思っていただけに、結構ショックだ。
「水野先輩、次の人事異動で主任に昇格するらしいし、いいんじゃない?」
「でも、そんなに簡単に蓮のこと忘れられないよ」
武士さんのことをいいな、と思う自分がいる反面、やっぱり蓮のことを諦めきれない自分がいる。
「蓮くんは、もう戻らない気がするな」
由香も、私と同じ考えだった。
「なんだか、そこまでばっさり切ったってことは、戻る気がないってことだと思うし」
「………だよね」
諦めなきゃ、いけないのかもしれない。
いや、諦めなきゃいけないんだろう。
私は、覚悟を決めた。
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