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白いシーツと彼の寝息に包まれて、遮光カーテンから垣間見えるひとすじの光を見つめる。先ほどまで逃がしたくないと言わんばかりに絡みついていた2本の腕は、同じとは思えないほどふんわりと優しく私の身体を抱いている。
この時間は現実へカウントダウンだ。あたたかいのに、心はまたズキズキと冷めていく。
「私だって離れたくない」
離さない。最中のあの言葉に、時間差で返事をした。彼は一度寝るとなかなか起きないのだ。それをいいことに、こっそり鼻をつまんでやった。
次はいつ会えるだろう。ううん、いつまでこうして一緒にいられるのだろう。お互いが遠距離なんて、さすがにできすぎているのよ。鈍感な私だって気付いてしまった。
「愛してる」
わかっていても、直接伝える自信はない。ぐるぐるまわる頭の中とは正反対の、あどけない寝顔に届かない音を浴びせて、私も眠りの中に落ちていった。
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