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ああ、もう駄目だ。
――舐めたい。
立ち上がったしこりを舐めて、その硬さを舌で味わいたいと思った。
健人のペニスも反応している。アルファ特有の瘤の部分まで硬くなっているのが分かった。
鷺沢を抱きたい。抱いてしまいたい。番って自分のものにしたい。抗いがたい欲望が腹の底から湧いてくる。それでも健人は自制心を失っていなかった。
「……したい……ワンコのおまえと今すぐしたい。欲しい」
「俺はあなたとしたくない」
健人は叫んだ。
「あなたとは発情ではなく、感情でセックスしたい」
「…………」
「このまま、発情のままにセックスするのは絶対に嫌だ」
そう言いながらも鷺沢を抱きたくて仕方がなかった。
もう気が狂いそうだ。
荒れ狂う心臓を空いている右手で押さえた。
「あなたのことが好きです。本気で好きです。体なんかいらない。俺はあなたの心が欲しい!」
健人の叫ぶ声がリビングに響く。
――あなたの心が欲しいんです。
そう、鷺沢の心が欲しい。
番じゃなくて、運命の相手じゃなくて、あなた自身が欲しい。
あなたを恋人として――抱きたい。
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