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「俺……内側が焼肉になった? 逆ローストビーフみたいな。あ、刺身なら鰹のたたきか」
「だな。とにかく、駒井がすぐに体を離したのがよかったんだろう。この怪我は不幸中の幸いだ。だが――」
大浦が口を閉ざす。言いたいことは分かっていた。
「この細工ができるのは、どう考えてもうちの署の人間だ。ピーガルくんは保管庫で管理されているし、そこに外部の者が入ることはできない。頼まれてやったとも考えられるが、それでも片棒は担いでいる。犯人は近い場所にいる」
「だよな……。一つ心配がある」
「なんだ?」
「署長のことだ。今回のことで署長が狙われる可能性がある。俺はとにかく早く退院したいんだ。嫌な予感がする」
「署長は問題なく業務をこなしてるが」
「人が少なくなった後、特に夜が心配なんだ。俺に今日以降の当直当番のメンバーを全部教えてくれ」
「分かった、調べて後で知らせる」
「悪いな、ありがとう。恩に着るよ」
「構わない。おまえも気をつけろよ」
「ああ」
ピーガルくんの保管は大浦に頼んだ。大浦は健人の肩を叩くと病室を後にした。
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