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下の娘、香織は猫っぽい。
「かおにゃーん」
「にゃ~」
顔の横に握った手を構えて猫ポーズ。
「かおジャーン」
「シャーッ」
顔をしかめて威嚇する。
上の娘、詩織とこんな遊びをしてる。
「ほら、しおりん、かおりん、歯磨いて寝るよ」
お正月ともなるといつまでも遊んでいて、なかなか寝る気にならないようで。
「えーっ、まだ眠くない」
と、詩織が言えば
「かおちゃん、お腹減ったー」
と、香織も言い出す。
「お腹減ったって……」
古い柱に掛けられている掛け時計を見上げる。
既に21時を回っていた。
「今から食べる気!?」
「まぁ、いいじゃないの。かおちゃん、何する? おにぎりでいいかい?」
コタツにあたっていた義母がよいしょ、と立ち上がる。
「んーと、おさかなごはん!」
「じやあ、鮭フレークのごはんを海苔巻きにしてやろうかね」
「あ……いえ、お義母さん、もう寝る前ですから……」
「まぁまぁ、お腹減って眠れないと可哀想だからね。かおちゃん、待っててね。今、ばあばが作ってきてあげるからね」
「うん、かおちゃん、待ってるー」
甘え上手で誰が教えたわけでもないのに可愛がられるコツを知ってる。次女の特権だ。そんなところも猫っぽい。
お義母さんの作ったシャケおにぎりを頬張りながら香織はまんまるな顔を幸せそうに綻ばせた。
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