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「ひゃぁー!寒い寒い寒い!」
安堵で変な声を出しながら、教室の扉を勢いよく開けてすぐ閉める。
学校指定のカバンを机の上に乱暴に置き、真っ先にストーブの前に行く。
おそらくストーブは5分前についてるから、予想通り暖かくなってる。
ここでやっと一息つき、2重にしていた手袋をとって両手をストーブに向ける。
この瞬間…最高だ。
暖かくなって落ち着いてきたので自己紹介。
私は高校2年女子の秋野 寒凛(カリン)。
特徴といった特徴は一つだけ。
極端に寒がりで、冷え性で、温かいものが大好きな事。
だから寒いこの時期は大っ嫌い。
ちょっと雪が降っただけでは学校があるのに休んでしまったことだってある。
逆に暑い夏は何かと過ごしやすくて好き。
夏に熱いラーメンとか食べるのって最高だと思う。
「あんたさぁ…朝から走ってきたの?」
「そうだけど、ダメ?」
「いや、今日寒いから気持ちは分かるけど…その恰好は何とかならないの?」
「え?」
友達の紗季(サキ)が、登校してくるなり私を見てため息をつく。
私は改めて自分の格好を見る。
私が着ているのは紗季と同じく学校指定の紺色のブレザーとスカート。
彼女と違うところと言えば、私はスカートの下に体育のジャージを履いて、ブレザーの下にセーターを着ていて、上にダウンジャケットを着ている。
他にはマフラーとさっきの2重手袋。
あ、靴下も2重にしていて、ちょっと上履きがきつい。
それだけ。
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