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心に友が住み憑いた
「哲治ちゃん、アタシの話聞いてよお。ねえったら」
哲治の眼前に、禿頭で目ばかりが異様に大きい老人がいた。
「哲ちゃんが寝てるときじゃないとアタシお話できないんだからねえ」
「……は? アンタ誰? 激しくキモイんだけどジジイ」
「やあねえ、官助よお。官ちゃんって呼んでって言ったじゃないウフ」
「オエ、超キモイんで顔寄せるなってーのジジイ!」
「いいからいいから、哲ちゃん、アタシの大事な話聞いてってばウフ」
「ねえねえアタシの作戦上手くいったでしょ? 各個撃破ってやつよ?」
「何それ? 何の話?」
「昨日の喧嘩よお。哲ちゃんかっこよかったわよマジでウフ」
「喧嘩? 俺が? 覚えてねえ……」
「つうかこれ、妙に生々しい夢だな。俺ホントに寝てるのか?」
「哲ちゃんの夢の中じゃないとアタシ会話できないのよねホントに嫌ねえ」
「まあどうでもいいけど、そのカマっぽいキャラうぜえなあ」
「あらやだ、こういうの嫌い? 哲ちゃんが嫌いならアタシ、キャラ変えるわ」
「如月哲治よ。お主は我こと山本官助に選ばれた未来の名軍師である」
「お主には我が生前に編み出した兵法の全てを伝授することになろう」
「兵法? 何それ? ぜんぜんわかんねーんだけど何言ってるのか」
「現にお主は昨日、兵法で三対一の戦いに勝利したのだ」
「あ~やだやだ。真面目キャラ疲れるから楽なキャラに戻すわよウフ」
「まあいいや、それよりアンタ何者なんだ? 謎すぎる……」
「哲ちゃんにわかるように言うとお、憑依霊? 的な? ンフフ」
そこで哲治の夢は終わった。雀の鳴き声が聞こえ、朝日が見えた。
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