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 その日、月を散歩する夢を見た。  所詮は夢だからか、普通に地球と同じ重力が働いていて、デコボコした大地をひたすら横断することが出来た。さすがに変化のない景色に飽きて、足取りが重くなってきた頃、目の前にある大きなクレーターの陰からひょっこりと人が現れた。 「あ、えっと……こんにちは!」 「お前、誰?」 「俺は――」  明るく名前を答えようとした瞬間に目が覚める。そこは自分の部屋で、いつも通りの光景が広がっていた。  何だか微妙なところで起きてしまったなぁとモヤモヤしたものを抱えつつ、身体を起こす。まだ活動するには時間が早い気がしたけれど、しゃきんとした頭では二度寝も出来る気がしない。
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