16人が本棚に入れています
本棚に追加
/30ページ
(このまま死ねたらいいな)
あの優しい水の塊に戻りたい。小さくなって。ぷるぷるした液体になって、宇宙の果てに飛んで行ってしまいたい。
(はやく死ねたらいいな)
自殺は出来ない。過去に一度も自殺をした人生はなかった。だからきっとまりには出来ない。誰かに殺されるのを、待つしかないのだ。
(死ねる日を、待とう。どうにかいきて。大丈夫。きっとそんなに、とおくじゃない……)
まりはもう泣かずに目をつぶる。降り出した雪が、まりの薄桃色の身体にうっすらと積もりはじめていた。
最初のコメントを投稿しよう!