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殺したのと同じ。嘘つき。
わたしはあの頃、そういった噂話を聞くともなしに聞いていたのかもしれない。耳はそれを聞いていたのに、脳が受け取ることを拒否していたのかもしれない。
その噂話の意味することを、自分で認めたくなかったのかもしれない。
子猫をうちの前に置いたのは。
「誰か動物好きな子で、飼ってくれる優しい人いない」
「そうだ、あのこ優しいじゃん」
クラスの女子たちは、きっと真っ先に、ひろちゃんのうちに行ったのに違いない。
ひろちゃんのうちも借家だったはずだから、当然猫は飼えない。だけど女子たちはひろちゃんに、「あんたの代わりに飼ってくれる人探してよ」と言った。
ひろちゃんが誰の名前をあげたのか、容易に想像がつく。
(あの時の、クラスの子たちの様子。それから、色々なことの不自然さ)
やかんのお湯が沸きかけている。しゅうしゅうと湯気が上がっている。小窓からは朝の光が斜めにさしていた。
ドリップ珈琲の支度をしながら、わたしは、古い幼い深い傷の真相が、まるで半端に重力を持ったゴミが水に浮かび上がって来るかのように、自分の中でゆっくりと発覚してゆくのを、気だるく見守っていた。
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