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ゆっくり浮き上がって来るかのように
うちは借家なのでペットは飼えない。
だけどわたしが動物好きなのは、みんなが知っていることだった。
日曜日の朝、おかあさんが引きつった顔で、ゆみちょっと来てと起こしに来た。まだ早い時間だった。目をこすりながら起きると、おかあさんは玄関の前に立って指さしている。難しい顔をしていた。
パジャマのまま、わたしはつっかけをはいた。玄関から顔を出すと、なるほど、そこにはびっくりするようなものがあった。
「かーわいい」
にゃーにゃーにいにい。
段ボールには「もらってください」とマジックで書きなぐられており、中には子猫が五匹、入っていた。
おかあさんは眉をひそめてわたしを睨んでいる。その顔は完全に疑っている。あんたが小細工したんじゃなかろうね、と、無言で責めている。
実はわたしは、猫が欲しい犬が欲しいと、ことあるごとに駄々をこねていた。友達の誰それのうちで可愛い犬がいたと言っては帰宅してから足踏みして泣き、道端で可哀そうな野良猫を見た、助けてやらないのは人間として屑だと無茶な理屈を言って滅茶苦茶に叱られる。
「金魚じゃだめ」
「オタマジャクシ学校で飼ってるじゃない」
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