ゆっくり浮き上がって来るかのように

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 悪いことは立て続けに起こるもので、学校のクラスでも、わたしはなにか違和感を覚えるようになった。  今まで遊びにまぜてくれていた子たちが、妙にわたしを避けている気がする。ひそひそと何か言い合っているが、もしかしたらわたしのことを言っているのじゃないかと思うようになった。  わたしは生き物がかりをしていたが、ある朝、たまたま金魚が一匹、ぷかっと浮いて死んでいた。  金魚は三匹おり、一番弱いやつが他のやつらに攻撃されていたのは前からみんな知っていたことだ。どうやらついに、夜の間、とどめをさされたらしい。  ぷかぷかとおなかを見せて浮いている金魚を見に、水槽周りにはクラスメイト達がたかっていた。生き物がかりさーん、と呼ばれて、わたしは覗いた。生きていた頃は愛らしい金魚も、こうしてみたら気持ちが悪く感じる。  ためらっていたら、ねえ、仕事だよね、と背中をどつかれた。前まで仲良くしてくれていた、あみちゃんが怖い顔をしている。  「このままにしておいていいの。金魚、共食いするんでしょ」  みんな、わたしの動向を観察していた。  仕方なくわたしは網を持って、死んだ金魚を掬った。わーかわいそー。誰かが言った。その時、キンコーンと鐘が鳴った。授業が始まる。先生が来る。でもこの金魚どうしよう。     
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