ゆっくり浮き上がって来るかのように

7/9
前へ
/9ページ
次へ
 わたしはまた寂しい気持ちになって、ぽつんと離れて給食を食べた。  父の都合で引っ越しが決まり、転校することが分かったのは、その数日後のことだった。 **  「猫死んでたんだってねー」  「あれって殺したのと同じだよねー」  「動物好きっていってたのに、嘘つきじゃん」  はっと目が覚めた。  何年ぶりのインフルエンザだったろう。三日間、熱で寝込んでいた。  夢を見てうなされて、起きてみたら朝になっている。となりを見ると、旦那はもう出勤した後だった。朝ごはんを適当に食べていったのだろう。台所のほうから、味噌汁のにおいが香った。  体がぐっしょりと汗で濡れており不快だったが、身体はひどく軽かった。喉のいやな痛みも取れており、頭もすがすがしい。  あのしつこい熱が嘘の嘘のように引いており、どうやらわたしは、インフルエンザを乗り切ったらしかった。  「あー」  体を伸ばして解放感を味わった。憑き物がとれたかのようだ。濡れた下着が気持ち悪いので、シャワーをあびて着替えた。    カーテンを開くとよく晴れた素晴らしい天気である。  目を細めながらお日様を味わい、熱がひけた幸せを味わった。  にい。にいにい。     
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加