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 どこから調達したのか(…って、そんなの優子さん以外にいないんだけど)、ご丁寧に中学の時(当時)と同じ白い靴下まで入っていた。  姿見に映る自分の姿は、冬馬の言うとおり、想像していた程イタくない。 でも、本当にあの日の自分に戻ってしまったような気がして、指先が冷たくなるのを感じた。  恐怖からなのか、羞恥からなのか、脱衣所をなかなか出られない。    こうしていても、ただ時間が過ぎて行くだけで、何の解決にもならないことは分かっている。  予想に反して、冬馬が急かすことはなく、覚悟を決めて自分の手でドアを開けると、目の前に立っていた冬馬に思い切りぶつかった。  「うわっ、ごめん冬馬」  謝りながら見上げると、冬馬が思い切り後ずさった。  「え?冬馬!?」 様子を見ようと冬馬に向かって一歩踏み出した途端ー  「…っ、来るな!!」  冬馬のひきつった声で、私の足はピタリと止まった。  
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