10/16
前へ
/98ページ
次へ
 想像していた程イタくないと思ったのは私だけで、冬馬的には見るに耐えなかったのだろうか。  それにしたって、こんな格好しろと言ってきたのは冬馬なのに。  恥ずかしくて、穴を掘ってでも入りたい。    「ご、ごめん!!やっぱ無理があるよね!!着替えてくる!!」  「そうじゃねえから着替えんな!!」  口で引き止めてくる割に、腕を掴まれるわけでもなく、冬馬と私の距離は変わらない。  「…じゃあ、何?」  ゆっくりと振り返って問いかけると、冬馬の顔は赤くなりながら青ざめていた。  「…その格好で名前なんか呼ぶな」  「は??」  「…結婚して、子供までいて…毎晩抱いてるし、さすがにもう大丈夫と思ってたのに…ヤバい」  どこかで聞いたことあるようなフレーズだと思ったものは、昨日春馬の学ラン姿を見た私が自己嫌悪したときのそれだ。  それにしても、冬馬は何に戸惑ってるの?  「やばいって、何が?」 「三年間その格好のお前には、名前はおろか苗字すら呼ばれたことねーから、…マジで…やばい」 「え?」  「…また、無理やり犯しそう」
/98ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5199人が本棚に入れています
本棚に追加