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 春馬、ごめん。  それ、ビンゴだ。  二人のやりとりを聞いて、はっきりと思い出した。  私、倒れたんだった。春馬(大事な息子)の学ラン姿を見てー。  春馬を出産してからあっという間に歳月が流れ、小学校も最後の年となった。  春馬の進学先は、私と冬馬の母校ではないけれど、公立の中学だ。  意外なことに、塾に行かせているわけでもないのに、春馬は成績優秀な方で、担任の先生からは、再三私立中学の受験を勧められた。  でも、それを突っぱねたのは、『中学までは公立の学校に通って色々な人間と付き合うべき』という園宮の父の考えによる。
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