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「どーもこーもねえよ。お前あの時寝言ではっきり好きな男の名前呼んだだろ!」
「は?寝言??好きな男???」
「…お前二年の時から江藤のこと好きだっただろ」
「…?江藤…?」
「俺らの一コ上のテニス部の男!」
そこまで言われて、やっと思い出した。
確かにあの日、寝言でその名前を呼んだのが始まりだったのに、今の今まで忘れていた。
江藤先輩は私の初恋の男だ。
テニスが上手くて、成績も優秀で、爽やかでカッコ良い、冬馬とは違ったタイプの人気ある先輩だった。
でも、当時、誰かさんのせいで自分にすっかり自信をなくしていた私は、挨拶もまともにできず、ただ遠くから見ていただけ。
麗ちゃんにすら教えてなかったのに。
「思い出したか」
「や、あの、思い出したけど…何で冬馬が知ってるの?」
「俺がどんだけお前のこと見てたかなんて、いい加減分かってるだろ」
そんなことまで見抜かれていたなんて。
今更ながら夫の自分への執着っぷりに密かにドン引いた。
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