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「昔じゃなくて、大昔だろ。いつまでもカビ臭い思い出に浸ってるから四十過ぎても嫁の来手がねーんだよ」
いつもなら私が二人の仲裁に入るところを、今日は春馬が吠えた。
「二人とも下んねーこと言ってねーでさっさと食えよ。依子は本当に早く寝ろ。今日倒れたんだから!」
ぶっきらぼうだけど、優しい春馬の言葉が嬉しくて、申し訳なくて。
鼻の奥がツンとなる。
春馬はこんなに母親思いで、あの頃の冬馬とは全然違うのにー。
「倒れた?具合悪いって、ただの風邪じゃねーのか!?」
「そうだよ!」
「何で!?病院は行ったのか?」
…原因は、春馬の学ラン姿だなんて、二人の前で言えっこない。
「行ってないけど大丈夫。大したことないから」
曖昧にはぐらかしても、冬馬は追求の手を緩めてはくれなかった。
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