16/16
前へ
/98ページ
次へ
 「朝から玄関で、自分の親がヤってるとか、流石に目ぇ疑うだろ」  脳内で、春馬のセリフをリピートする。  や、『ヤってる』?  春馬が、『ヤってる』って言った?  やっぱり冬馬の息子だから体だけじゃなくて、そっちの知識も早熟なの?  もしかして、この年でもう…!?  いやいや、今はそんなことどうでもよくて。  とにかくこの状況をやり過ごさなきゃ。  パニック状態の私をよそに、冬馬が全くフォローにならない切り返しをした。  「ヤってねーし。こんなの前戯のうちにも入んねーって」  「ぜ、前っ!?」  冬馬の生々しい言葉に、春馬のポーカーフェイスが一気に崩れ、顔から火を噴いた。  あ。  大丈夫。  コレ、春馬まだ童貞だ。    なんて考えていたら、聞くに耐えないような卑猥な父子(おやこ)の口論がスタート。    この状況にも、二人の会話にも頭がついていけなくて。  「も、もうやめてえぇーーーーーーーーーーーっ!!!」    と、叫ぶことしかできなかった。
/98ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5198人が本棚に入れています
本棚に追加