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 「いつまで泣いてんだよ。卒業式ならともかく、入学式だぞ、これ?」  帰り道、冬馬と春馬のはるか後ろを一人とぼとぼと歩く私を見かねて、春馬が立ち止まった。  やっぱり私にとっては『入学式』も鬼門だ。  未遂とは言え、春馬に現場(・・)を見られたのと、春馬の心身の成長のダブルパンチで、式の最中もずっと涙が止まらなかった。  「ご、ごめんっ、ごめんね、春くん。大事な日なのに、朝から変なもの見せて。これからもっと気をつけるから」  「もういいって。大体、いい年して、あんなところでサカった父さんが悪いだけだろ。ほら、行くよ」  ちょっと荒っぽく私の手を握って、冬馬のところまで早足で歩く春馬。  手をつないだのなんて、いつぶりだろう。  掌も、身長も、いつの間にこんなに大きくなったんだろう。  と、感慨に耽っていると、冬馬がこっちに向かって歩いてきた。  「お前、やっぱガキだな。惚れた女抱きたくなるのに年とか関係ねーんだよ!」  言いながら、手刀で私と春馬の手をぶった切った。
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