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「どっちがガキなんだよ!普通実の息子にまで妬くか?」
私の手をひったくるように握って歩き出す冬馬に、春馬が噛み付けば、
「当たり前だろ。息子と言えど他の男に触られるとムカつくんだよ」
と、何の躊躇いもなく言い放つ始末。
ほんと、残念な大人だ。
「って…父さんと依子って中学の同級生だよな?そんな付き合い長くて飽きねーの?」
「全っ然。そう簡単に飽きたり嫌いになれたりできるような女なら、苦労してねーんだよ」
即答すると、春馬を引き離すべく、冬馬の歩幅はどんどん大きくなっていき、気付けば家の前。
黒塗りセダンのハザードが二度点滅した。
「ってことで、予定通り出かけるから。後ヨロシク。夜は真依子と優子ん家行けよ」
春馬の返事も聞かないまま、私を車に押し込むと、冬馬は車を発進させた。
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