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 入学式帰りで、いつもより上質なスーツ姿で受付手続きをする冬馬は、ロビーにいる人の視線を一気に集める。  年齢を感じさせない豊かな黒髪  引き締まったボディライン  長い手足  嫌味なくらい整った顔  悔しいけど、黙っていれば本当にいい男。  「何ボーッとしてんだ。行くぞ」  声をかけられ立ち上がると、周囲からの値踏みするような視線が全身に突き刺さった。  痛いけど、我慢できる。  長年これに耐えて来られたのは、冬馬の絶対的な愛情のお陰だよね…と思ったところで、胸に(よぎ)るモヤっとした感情。  朝のゴタゴタですっかり忘れていた。  冬馬が復活したきっかけって、結局なんだったのよ?
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