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「一日遅れのホワイトデーや。チョコにはマシュマロ、手紙には手紙。ベタでつまんない男やから、そのまんまやけど許せよ」
ヒナコは悲鳴を上げた。何の話よ、あたし知らんでと大騒ぎする。
僕は振り返らずに走り出した。
あかんわこんなん。心臓痛い。
関西人に、こんなイベントやらせたらあかんねん。
口に出せないことでも文章だったらなんとか書ける。それを敬語にしたらもっとラクになる。
それ、僕もそうやから知ってんねんぞ。
ヒナコの声が聞こえなくなるまで、僕はそのままダッシュで逃げた。同じクラスだから、十分後には教室で会う。どんな顔したらいいんだろう。
いっそ手をつないで来たほうがラクだったんじゃなかろうか。
出来るわけもないことを考えながら、僕は中学校の門をくぐった。
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