幼馴染から渡されたチョコとラブレター、くれた人は別だった。

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 動揺で視界が定まらない。ぐらぐら揺れる教室を背景に、ヒナコはまっすぐに立っていた。  白い肌に、うっすら浮かぶそばかす。小さいころはよくからかわれていた、癖のある髪が光に透ける。  一重まぶたの目を細めて、ヒナコは穏やかに囁いた。 「ほら、うちらもう、卒業やろ。高校もバラバラになるし……カレシカノジョにでもならんと、顔も見れへんようになるやん。今のうちに、キモチ伝えとかんとね」 「……お、おう。うん、そうやな」 「あの子、京都の高校に行くんやって。せかやらリョータも、ちゃんと返事してあげて」 「そうかそうか……えっ?」  僕は素っ頓狂な声を上げた。ヒナコは微笑んだまま、なんということのない表情で続けてくる。 「二組の長谷川エミカちゃん。この三学期、選択授業いっしょになって、友達になってん」 「……知ってる。めちゃめちゃ可愛い子」 「そ。あんたにはもったいないと思うけど、幼馴染のヨシミで間とりもってあげるわ。もしOKなら、ウチ帰ってからでもあたしにメールして。あっちの番号教えてあげる。エミカちゃんからそう言われてんの」 「な、なんや。ヒナコからとちゃうんか! びっくりした。焦ったー!」     
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